ヨルシカのデビューまでの道のり|活動開始のきっかけ・転機を解説

出典:ヨルシカOFFICIAL SITE

ヨルシカのデビューまでの道のり|活動開始のきっかけ・転機を解説

ヨルシカのデビューまでの道のりは、ボカロPとして曲を作っていたn-bunaと、後にボーカルを担うsuisの出会いからたどれます。2017年に活動を始めた2人は、最初の作品発表を経て、2019年に『エルマ』でメジャーデビューしました。その間には、人の歌声を求めた制作上の変化、初めての舞台への挑戦、物語を軸にしたアルバムづくりなど、いくつもの節目があります。この記事では、活動開始前の背景からメジャーデビュー直後までに焦点を当て、音楽への関心、結成のきっかけ、インディーズ期の経験、作品制作をめぐる考え方を詳しく解説します。年表を追うだけでは見えにくい、制作と歌唱が結び付いた過程や、デビューにつながった判断を整理していきます。

ヨルシカの活動開始前の経歴

ヨルシカが生まれる前、n-bunaは自作曲を発表する音楽家として活動していました。2012年にボーカロイド楽曲「アリストラスト」を投稿し、ボカロPとしての歩みを始めています。ボカロPとは、歌声合成ソフトを使って曲を作り、発表する音楽家を指す呼び方です。n-bunaの場合も、自分が歌手として歌うことより、歌詞やメロディー、伴奏を組み合わせて作品を完成させることが活動の中心でした。2014年には同人アルバム『カーテンコールが止む前に』、2015年には『花と水飴、最終電車』を発表しています。曲をインターネットに投稿する段階から、複数の曲を一枚の作品としてまとめる段階へ進んでいたのです。この経歴は、後にヨルシカが最初からアルバム単位で世界観を作れた背景を理解する手がかりになります。グループの結成時点で制作を一から始めたのではなく、すでに自作曲を形にし、発表する経験を重ねていました。ヨルシカの活動開始前には、こうした作曲家としての蓄積が存在していたことを押さえておきたいところです。

2016年には、個人名義のアルバム『月を歩いている』を発売しました。この作品では童話をモチーフにし、楽曲同士の関係や作品全体の世界観を考えながら制作しています。取材では、ピアノやアコースティックギター、ストリングスを取り入れる技術が前作より広がったこと、ボーカロイドの歌わせ方に時間をかけたことを説明しています。また、冒頭のインストゥルメンタル「モノローグ」に文章を添え、音楽とともに世界を想像してもらう方法も用いていました。歌がない曲や紙に書かれた言葉まで含めて作品を作る発想は、ヨルシカ以前から見られます。一方、suisは、n-bunaからライブの歌い手として声をかけられた時期が、音楽活動の初めての機会だったと語っています。2人は、同じように音楽業界で活動していた者同士が組んだわけではありません。制作経験を持つ音楽家と、新しく歌唱活動へ踏み出す人が、それぞれ異なる背景から合流しました。この違いが、後の役割分担を理解するうえでも大切です。活動開始前の経歴をすべて2人に共通するものとして扱わず、n-bunaの個人制作と、suisが歌う立場へ進む経緯を分けることで、結成の輪郭がはっきりします。

ヨルシカが音楽に興味を持ったきっかけ

n-bunaが音楽へ踏み出す入口になったのは、中学1年生の頃に兄の影響で購入したエレキギターでした。当時好きだったバンドやギターのインストゥルメンタルを弾こうと練習し、YouTubeでも演奏を探していたといいます。その中で出会ったギタリストとして、ラリー・カールトンやジョニー・ウィンター、ロベン・フォードの名前を挙げています。音楽を聴いて楽しむだけでなく、音を自分の手で鳴らし、演奏の仕組みを確かめる経験が出発点でした。学生時代には友人とバンドを組んだこともありましたが、家で一人で曲を作るほうが楽しかったと話しています。集団で演奏する経験がありながら、個人で制作する時間に強くひかれていたのです。さらに、作品のあり方を考えるうえで影響を受けた例として、HIDETAKE TAKAYAMAの「Express feat. Silla (mum)」のミュージックビデオも挙げています。曲、映像、歌い手の声によって一つの世界が完成していることに衝撃を受け、自分もそうした作品を作りたいと思ったという説明は、後のヨルシカの方向を考えるうえでも重要です。

suisの音楽的な背景として確認できるのは、父親の影響で聴いていた村下孝蔵です。本人は、後から曲を聴き直した際、自分の歌い方にその影響があると気付いたと語っています。n-bunaが楽器や作曲を通じて音楽に近づいたのに対し、suisには歌を聴く経験が歌唱の感覚へ残っていたことが分かります。家庭で耳にしていた歌を、後から自分の表現と結び付けて捉えたエピソードです。歌い手としてのsuisを知るうえでも、音楽に触れていた経験と、実際に舞台へ踏み出した時期を分けると、その歩みを整理しやすくなります。また、ヨルシカを始める前からn-bunaの歌詞や曲が好きだったことも、suisはインタビューで明かしています。作り手の音楽に共鳴する聴き手だった人が、後にその曲を歌う人になったという関係です。2人の音楽への入口を合わせて見ると、同じジャンルや同じ目標を持っていたから結成したという単純な説明には収まりません。演奏や制作に向かう関心と、声や言葉に感じる魅力が、別々の経路から一つの作品づくりへ集まっています。この背景を知ると、ヨルシカが作曲家と歌手の明確な役割を持ちながら活動する理由も、具体的に理解しやすくなります。

ヨルシカが活動を始めたきっかけ

ヨルシカを始める直接のきっかけは、n-bunaが自分の世界観を人の歌声で表現したいと考えたことでした。ボーカロイドでの活動を否定したのではなく、曲を発表する手段を広げ、より人間的な作品を作れる場所を求めていたと説明しています。自分で歌うことを選ばず、曲に合う声を探す中で接点があったのがsuisです。2人は共通の知人である音楽制作関係者を通じて出会い、仮歌やデモの歌唱で一緒に仕事をする機会がありました。その後、n-bunaのソロライブで歌う人を探す際に、suisが候補になります。n-bunaが重視したのは、歌手としての経歴の長さよりも、声と自分のサウンドの相性でした。経験は活動を続ける中で身に付く一方、もともと持つ声の性質や表現の感覚は、作品へ参加する人を選ぶ重要な条件になります。知人を介した制作上の接点があり、そこで聴いた声を実際の公演でも生かすという順序だったのです。大規模な公募でメンバーを集めたグループとは異なる、音楽制作から生まれた出会いが確認できます。

suisは、最初からステージに立つ自信があったわけではありません。n-bunaに誘われた際には、自分に務まるのか悩み、まず一度歌ってみるよう背中を押されたと振り返っています。本番が近づいて不安が強くなった時期には、母親とミュージカル『天使にラブソングを〜シスター・アクト〜』を観た経験が支えになりました。歌うことの喜びが表現された舞台を通じて、新しいことに挑戦する気持ちを取り戻したといいます。2016年8月にはn-bunaが新代田FEVERで初のソロライブ「月を歩いている」を行い、11月には代官山UNITで追加公演を開催しました。ヨルシカ結成前のこのライブにsuisがゲストボーカルとして参加したことが、2人の継続的な活動につながります。制作中の仮歌で声を聴くことと、観客の前で一緒に音楽を届けることは、異なる経験です。ライブを経て、作品と声の相性を舞台でも確かめられた点に意味があります。suisも、参加する中でヨルシカを続ける覚悟が固まっていったと語っています。結成は一度の声かけだけで決まった出来事ではなく、制作と公演を通じて、それぞれの意思が具体的な活動へ変わっていった結果と捉えられます。

ヨルシカのデビュー前の活動

ヨルシカは2017年4月に活動を開始し、同年6月28日に最初のミニアルバム『夏草が邪魔をする』を発売しました。ここでいうデビュー前とは、2019年のメジャーデビュー以前の時期です。2017年にもグループとして作品を発表しているため、それ以前の活動を未公開の準備期間だけとして扱うことはできません。最初のミニアルバムは「言って。」「靴の花火」「雲と幽霊」などを含む全7曲で、夏の風景を軸に構成されました。曲を作った後でまとめるだけでなく、冒頭から終曲までの流れを先に考えて制作したとn-bunaは説明しています。また、人の歌声に加えてサポートミュージシャンによる演奏を取り入れ、ベースやドラムのリズムにも生演奏の感覚を求めました。個人で打ち込みを中心に作っていた音楽を、そのまま別名義に移したのではなく、声と演奏の両方を通じて表現を変えています。同年7月には新宿BLAZEで初ライブ「夏草が邪魔をする」も開催し、音源の発売と公演がそろいました。

2018年5月9日には、2枚目のミニアルバム『負け犬にアンコールはいらない』を発売しました。「ただ君に晴れ」「ヒッチコック」「準透明少年」などを収録した作品です。メジャーデビュー前にミニアルバムを2枚発表したことで、ヨルシカの音楽は一つの企画にとどまらず、別の作品を継続して作る活動になっていきます。特に「ただ君に晴れ」は、後のヨルシカを知る入口となる曲の一つですが、デビューへの道のりでは、代表曲が生まれたことに加え、作品を重ねた経験にも目を向ける必要があります。前作と違う歌や情景を用意しながら、同じグループの作品として届けることができたからです。インディーズ期の活動を通じて、n-bunaの制作とsuisの歌唱、演奏者の参加、映像による発表が組み合わさっていきました。この時期に作った曲は、後から聴く人にとっても結成初期の表現を知る手がかりになります。メジャーデビューによって初めてヨルシカの作品が世に出たのではなく、その前にグループとしての制作方法や楽曲群が形になっていました。2017年から2018年にかけての活動は、デビューへ向かう準備であると同時に、それ自体が独立した作品を残した重要な時期です。

ヨルシカが経験した大きな転機

メジャーデビューを前にした大きな転機が、2019年4月10日発売の初のフルアルバム『だから僕は音楽を辞めた』です。前の2枚のミニアルバムから作品の規模を広げ、スウェーデンを旅した青年が、エルマへ向けて残す音楽を軸に物語を構成しました。作品名の「音楽を辞めた」は、この物語に関わる言葉です。n-buna自身が活動を終了するという告知ではありません。一方で、音楽を作る意味や、作品が評価されることへの思いなど、制作する本人の経験や考えも物語へ取り込まれています。n-bunaは、表題曲を以前から持っており、その曲を中心に構想を膨らませたと説明しています。曲の題名を付けてから意味を後付けするという順序ではなく、核となる歌が、登場人物や作品全体を生み出す出発点になりました。アルバムはオリコン週間アルバムランキングで初登場5位を記録しています。制作面では物語を一枚の作品にする段階へ進み、発表後にはその作品がチャートでも成果を残しました。初期の楽曲を聴いていた人が、アルバムを通してヨルシカの世界へさらに深く入れる作品になった点も、この節目を考えるうえで大切です。

同じ作品の制作では、suisの歌を録音する方法にも変化がありました。途中から、n-bunaが録音現場に立ち会わず、suis、ディレクター、エンジニアで歌を録るようになったのです。録音した歌をn-bunaが後から聴き、必要な部分は録り直すという進め方でした。声の出し方や表現をその場で細かく指定する方法から、歌い手が曲を解釈し、考えた表現を受け取る方法へ変わっています。suisは、この経験を通じて、ヨルシカのボーカルとしての自分の役割をつかんでいったと振り返っています。n-bunaも、想定と少し違う歌が届くことによって表現の幅が広がり、よりよい形を探せることを語っています。これは、作曲家と歌手という分担の内側で、共同制作の関係が深まった出来事と理解できます。suisが歌詞や曲を理解し、自分で判断する余地が生まれたことは、後に別の登場人物の立場から歌う作品にもつながる重要な経験でした。曲数が増えたことに加え、誰がどのように表現を考えるかも変わったのです。デビュー前の成長を作品の売れ行きだけで捉えず、歌い手が制作へ関わる方法にまで目を向けると、このアルバムの意味がより具体的に見えてきます。

ヨルシカがデビューにつながったきっかけ

ヨルシカのメジャーデビューを考えるうえで重要なのは、作品をどのような環境で作り続けるかという判断です。n-bunaは、ユニバーサルミュージックと話す中で、作品を大事にする考え方や、制作の自由を尊重する姿勢を感じ、信頼できると思ったことを語っています。ヨルシカは、曲を作って歌うだけでなく、アルバムの物語や映像、パッケージまで含めて表現するグループです。そのため、何を作りたいかを共有できる相手と活動することが、次の段階へ進む際の条件になっていました。インタビューでn-bunaが挙げた具体的な理由には、作品を支えるミュージシャンへきちんと対価を払い、恩返しをしたいという思いもあります。また、ミュージックビデオを一つの作品として作るため、制作環境を整えることも考えていました。メジャーデビューを、所属先の名前が変わる出来事として見るだけでは、この選択の背景を捉えきれません。人の声や演奏を生かす活動を始めたからこそ、共同で制作する人たちとの関係や、映像を形にする条件も重要になったと理解できます。制作を継続するための具体的な考えが、レーベルを選ぶ判断に結び付いています。

デビュー作として発表されたのは、『だから僕は音楽を辞めた』と対になるアルバム『エルマ』でした。2019年4月の段階で、夏に『エルマ』を発売してメジャーデビューすることが告知され、6月には8月28日という発売日が明らかになります。先に発表した物語を別の視点から受け止める作品であり、ヨルシカが進めていた構想と、メジャーデビューの時期が重なった形です。初めて聴く人も、2枚のアルバムを順にたどれば、デビュー時点で何を表現しようとしていたかを理解できます。ここで注目したいのは、創作の内容を保ちながら、それを届ける環境を選んでいる点です。n-bunaにとっては、自分が望む作品を作ることが活動の中心にあり、suisにとっても、その音楽を歌声で表現することが参加の理由でした。レーベルとの協力は、こうした活動の軸を実現するための選択として説明されています。結成からデビューまでを振り返ると、個人の制作経験、声との出会い、複数の作品発表、共同制作の成熟が積み重なっていました。その上で制作方針を共有できる環境へ進んだことが、ヨルシカのメジャーデビューにつながった流れです。

ヨルシカのデビュー当時の活動

2019年8月28日、ヨルシカは2枚目のフルアルバム『エルマ』を発売し、メジャーデビューしました。全14曲には「雨とカプチーノ」「心に穴が空いた」「ノーチラス」などが収められています。前作に登場した青年が残したものを受け取り、その足跡を追うエルマの視点から物語が描かれました。同じ世界を、音楽を残す側と受け取る側の両方からたどれる構成です。前作を聴いた人にとっては、曲や手紙を別の人物がどう受け止めたかを考えられ、新しく知った人にとっても、関連する作品をさかのぼる入口になります。また、初回限定盤にはエルマの日記帳が用意され、文章や写真を含めて物語を感じられる形で発売されました。n-bunaは制作にあたり実際にスウェーデンへ赴き、写真を撮影しています。作品中の旅を、音や言葉だけでなく、風景を伝える素材にもつなげていたのです。CDを再生することに加え、日記を読み、写真を見ることで、歌に描かれた場所や時間を想像できます。デビュー当時のヨルシカは、歌手と作曲家の組み合わせであると同時に、音楽と物語、視覚的な素材をまとめて発表する活動をすでに形にしていました。

『エルマ』の録音でsuisが向き合ったのは、登場人物として歌うことでした。初期のミニアルバムでは曲を魅力的に歌うことに意識が向いていたのに対し、前作では青年の心情を考え、この作品ではエルマの立場で表現するようになったと説明しています。同じ声が2枚のアルバムを歌っていても、誰の思いや言葉として届けるかが変わっているのです。suisは、エルマの曲をsuisとして歌うというより、エルマになって歌う感覚を語っています。これは、声そのものを別人に変えるという話ではなく、歌の中の感情を誰のものとして捉えるかという、表現上の取り組みです。作詞・作曲を担うn-bunaが物語を用意し、suisがその世界を声で具体化するという関係が、デビュー作でさらに明確になりました。作品を知る際には、収録曲を単独で楽しんだ後、アルバムの順番で聴いてみると、登場人物の心の動きや風景のつながりを捉えやすくなります。デビュー当時の活動は、新しいレーベルから音源を発売することだけで完結していません。日記という形の文章、旅先の写真、人物を意識した歌唱が一緒に届けられたことで、ヨルシカが目指す作品の姿を、聴き手が複数の方法で受け取れるようになっていました。

ヨルシカのデビューがその後の活動に与えた影響

メジャーデビュー後の2019年10月、ヨルシカは東京・名古屋・大阪を回るライブツアー「月光」を開催しました。同年12月には新木場STUDIO COASTで追加公演も行っています。デビュー前から作ってきた作品を、観客と同じ場所で共有する活動へ広げた時期です。n-bunaは『エルマ』発表時のインタビューで、ライブでもコンセプトを持ち、全体を一つの作品として見せる考えを説明していました。『だから僕は音楽を辞めた』と『エルマ』の世界を、音源の外へ持ち出す発想です。ライブは、収録曲をそのまま並べるだけでなく、聴き手が物語の世界へ入る機会にもなります。結成前にsuisが参加したソロライブは、声と曲の相性を確かめる場でしたが、この時期には、2人が作った作品世界を公演全体で届ける段階へ進んでいました。制作、発売、ライブが別々の活動として存在するだけでなく、同じ構想を違う形で伝える関係になった点に、デビュー直後の発展が見られます。作品に触れる入口も、曲を聴くこと、文章を読むこと、会場を訪れることへ広がりました。公演の規模とともに、何を体験してもらうかという考えも、ヨルシカの活動を理解する重要な手がかりです。

2020年7月29日には、アルバム『盗作』を発売しました。音楽を盗む男を主人公にした物語を掲げ、初回限定盤に小説を付けるなど、音楽と文章を組み合わせる表現を続けています。デビュー期に形にした物語型のアルバム制作が、別の主人公と新しい主題にも展開されたと捉えられます。さらに2023年には、絵と音楽を組み合わせた音楽画集『幻燈』を発表しました。作品を受け取る方法そのものも創作の一部として考える姿勢が、継続していることが分かります。2026年には、2月26日にn-bunaが手がける書簡形式の小説『二人称』、3月4日に同名のデジタルアルバムを発表しています。これは、最新の活動を知るうえでも、デビュー前からの歩みとつながる具体例です。作品を第一に考え、音楽以外の表現にも取り組める環境を選んだ判断は、デビュー後の発表方法を理解する手がかりになります。曲を作る人と歌う人が出会い、物語を一緒に表現する関係を築いたことが、後の活動を読み解く出発点になっています。ヨルシカのデビューは、長く続く創作の方法が形になった節目としても理解できるのです。

まとめ|ヨルシカのデビューまでの歩みを振り返ろう

ヨルシカのデビューまでの歩みは、n-bunaの作曲経験と、suisの歌声が結び付く過程として捉えられます。ボカロPとして作品を作っていたn-bunaは、自分の世界を人の声で表現するため、制作上の接点があったsuisへ声をかけました。歌うことに不安を抱えていたsuisも、ライブへの参加を通して、継続して活動する意思を固めていきます。2017年の活動開始後は、2枚のミニアルバムで曲と演奏を形にし、2019年の『だから僕は音楽を辞めた』では、物語を軸にしたフルアルバムへ進みました。その制作中には、suisが自分で歌の表現を考える録音方法も取り入れられています。そして、作品を尊重する制作環境を選び、同年8月28日に『エルマ』でメジャーデビューしました。最初の作品発売とメジャーデビューを分けて見ることで、その間に積み重ねた経験が分かります。デビュー前後のアルバムを順に聴き、物語や付属する文章にも触れてみると、歌い手の役割や作品の作り方がどう育ったかを感じられるでしょう。ヨルシカの出発点を知ることは、音楽と物語を組み合わせた現在の創作を、より深く楽しむことにもつながります。

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